相続税における土地評価額~広大地評価~

 

相続税の土地評価は少し特殊です。

その代表例を今回は取り上げてみたいと思います。

それが、「広大地」という評価方法です。

 

まずは、「広大地」について復習してみたいと思います。

 

「広大地」とは、文字通り、広く大きな土地を言います。

 

“広い”という定義はここでは省略しますが、イメージとしては、戸建て分譲用地に適している土地を想像してください。

 

この「広土地」に該当すれば、どのような土地であっても、最低40%のディスカウントを受けることができます。

 

畑・田・宅地・雑種地・山林どの地目に係わらず、同じように減額を受けることができます。

だから、「広大地」に該当するかしないかで、相続税の税額は何千万も差額がでる可能性もあるのです。

 

では、なぜ、広く大きな土地は土地の減額につながるのでしょうか?

 

例えば、100㎡の土地が1㎡あたり10万円で売りに出されていたとしましょう。

その隣に、まったく同じ環境条件で1,000㎡の土地が売りに出された場合、

1,000㎡の土地は100㎡の土地の10倍で売れますか?

 

つまり、「1,000㎡の土地は1億円で売れるでしょうか?」ということです。

 

恐らく1億円では売れないでしょう。

それは、この1,000㎡の土地の活用方法を考えれば納得いくはずです。

 

まず、1000㎡の土地を買う業者は個人消費者ではなく、開発業者である不動産デベロッパーが購入します。

不動産業者は、この土地を戸建て分譲住宅として区割りをして、売り出します。

その際、土地の中に道路を開設します。

 

つまり、土地を区割りして分譲住宅することで、道路という“つぶれ地”が出てくるのです。

では、この“つぶれ地”を負担するのは誰か?

最終消費者か?

土地を仕入れた開発業者か?

 

いえいえ、地主さんです。

開発業者は、この開設道路を販売価格にオンして売ることはしません。

地主さんは想定“つぶれ地”を差引いて、不動産開発業者に販売することになります。

地主さんに泣いてもらうのです。

 

だから、上記の例でいえば、恐らく8,000万円~9,000万円で売買されることになります。

 

話を戻すと、相続税の「広大地」です。

通常の売買事例として、広く大きな土地は、このように“つぶれ地”が出た場合は値下がりします。

だから、相続税の土地評価においても、同様にディスカウントすることが考慮されました。

 

しかし、この「広大地」評価はなかなかのクセがあります。

今まさに、この「広大地」のクセを利用した節税スキームが横行しているのです。