非上場株式の時価の世界を解く

 

ある会社内での一コマ

 

社長 「今、従業員から、我が社の株式の買い取りの要望があるから、グループ会社で買い取ろうと思っているんだが」

 

税理士「では、いくらで買い取る予定ですか?」

 

社長「もちろん、出資した額面だよ。確か、一株5万円だったかなあ」

 

税理士「ということは、その方の株数は100株だから、5百万円ですね。」

 

社長「まあ、本人もこれで同意しているから、問題ないだろう」

 

 

当事者同士で合意している価額だから、問題なし!民法的には確かに何も問題はありません。

 

だけど、税務の世界は、また別。

 

誰が取得するかによって時価が変幻自在に変わります。

ということは、非上場株式の時価を算定する必要があります。

 

なぜ、当事者同士の合意価額より税務上の時価を意識して、売買しなければならないのか?

それは、合意価額と税務上の時価の差額そのものが、贈与税・所得税・法人税の対象となるからです。

 

この時価の算定は基本的、四つの方法により決められています。

 

一つ目は、収益還元方式。

二つ目は、純資産価額方式

三つ目は、類似業種比準方式

四つ目は、配当還元方式

 

上記、四つの方式を基に、あとは組み合わせをしながら、算定します。

 

仮に、計算の結果、一株の金額が、

収益還元方式で50万円、

純資産価額方式で40万円、

類似業種比準方式で20万円、

配当還元方式で5万円、

の場合、

 

冒頭の社長が採用すべき株価はいくらでしょうか?

 

さらに、なぜ、時価がこんなに複数あるのか?

 

そして、従業員にとっての時価はいくらか?

 

疑問だらけの非上場株式の時価。

 

これからしばらく、「非上場株式の時価」についての旅をご案内しましょう!